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映画『君の名は。』を深く、より楽しむために、作り手である新海誠監督たちが、この作品に込めた想いを理解しようという主旨の記事です。
 
「その1」では、『君の名は。』の理解のためのコンセプトとして「2つのログライン」と「物語の因果律」ということを書きました。そして、今回この「その2」では、どちらかというと「ログラインB」(昔話)に関連する2キーワード「ムスビ」と「行って帰る物語」について書くことにします。
 
「その1」と「その2」で4つのキーワード「ログライン」「物語の因果律」「ムスビ」「行って帰る物語」の概略を理解していただければ、「その3」以降で展開する「作者があちこちに仕掛けたものたち」をよく理解できるようになります♪
 

「ムスビ」について

映画『君の名は。』の半ば少し前、一葉、三葉、四葉の3人で、宮水神社のご神体に口噛酒の奉納に行くというシーンがあります。その途中、おばあちゃん一葉が、三葉と四葉の姉妹に「ムスビ」について語ります。それを引用しますね。
ちなみに、このときの三葉の意識は瀧に入れ替わっている状態です。
 

三葉、四葉、ムスビって知っとるか。
土地の氏神さまをな、
古い言葉でムスビって呼ぶやさ。
この言葉には、ふか〜い意味がある。
 
糸を繋げることもムスビ。
人を繋げることもムスビ。
時間が流れることもムスビ。
 
全部、神さまの力や。
わしらの作る組紐も、せやから、
 
神さまの技、
時間のながれそのものをあらわしとる。
 
よりあつまって形を作り、
捻れて絡まって、
時には戻って、
途切れ、
またつながり。
 
それがムスビ。
それが時間
(『君の名は。』シナリオより引用)
 
ここで宮水神社の神主・一葉が語っている「ムスビ」とは、日本古来の土着の原始的な宗教の考え方です。かつて日本には共同体毎に神さまがいて、「ムスビ」というのは、そいう土着の神さまです。なので、天照大神みたいな歴史的正当性のある神さまではないものの、民衆にとってはなじみのある神さまなんです。
 
また「ムスビ」については、新海誠監督が講演のなかでこうも語っています。後半、瀧が三葉探しの旅のなかで宮水神社のご神体に行き、かつて三葉がつくった口噛酒を口にするシーンのところでの発言です。
 
瀧は水を口の中に入れるわけですね。
「ムスビ」という言葉には、たとえば民俗学者の折口信夫(おりくちしのぶ)さんが書いていることですが、水を両手で掬って口にいれる仕草のことをかつて「ムスビ」と言ったそうです。
 
そういえば水をムスぶという言葉もあったり、使ったりしますよね。
 
水を体に入れることで、体の中に入れたものと自分の魂をひとつにする行為を「ムスビ」と言ったそうです。
(新海誠監督の講演より)
 

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